「ヨガをやっているんです」と言うと、多くの人が、ある“絵”を思い浮かべます。
──大きく開脚して前屈したり、背中を反らせてポーズをとったり。
もちろん、どれも“間違い”ではありません。
でも、もし「ヨガとは難しいストレッチのこと」と思っていたとしたら、それは大きな誤解です。
なぜなら──ヨガは、ストレッチではないからです。
ストレッチとヨガは、似て非なるもの
ストレッチは「伸ばすこと」そのものが目的です。
でも、ヨガのポーズは違います。
ヨガの目的は、「どう動くか」「自分の身体をどう使うか」を再教育すること。
ポーズは、身体の使い方を“確かめるためのチェックシート”のようなものです。
どこが伸びるか、どのくらい伸びるか、どんなふうに伸びるか──
観察した結果、自然と気持ちよく伸びている。それがヨガの“本来の状態”です。
前屈を例に考えてみましょう
たとえば、前屈。
多くの人は「背中や脚の裏を伸ばすポーズ」だと思っています。
けれど、ヨガ的に見れば、その理解には“大きなズレ”があります。
実は前屈は、ただ伸ばせば深まるものではありません。
本当は、内ももを引き込み、お尻を緩め、骨盤を傾ける──
そういった“使い方”が整った結果として、自然と深まるものです。
【動画で体感】伸ばさずに深まる前屈のアプローチ
ヨガ的アプローチでは、ハムストリングスを一切伸ばさずに、前屈が深まります。
以下の7つのポイントを動画で解説しています:
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足裏をほぐす
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ふくらはぎをゆるめる
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お尻をゆるめる
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背中・腰を伸ばす
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股関節を“はめる”
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腹筋を引き込む
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最後に力を抜く
🎥 動画はこちら →【ヨガ=ストレッチという最大の誤解を、今ここで書き換える】ハムストリングスを伸ばさずに前屈が深まる7つのアプローチ
※一つだけでも効果があります。全部やると、さらに変化を感じられます。
身体は“誤解されたOS”で動いている
「胸を開こうとして肩が詰まる」
「骨盤を立てようとして腰が反る」
──そんな“ズレた反応”は、偶然ではありません。
それは、誤解されたまま身につけてきた身体のOSが動かしているのです。
ヨガが教えてくれるのは、「正しい動かし方」ではありません。
むしろ、「誤解された動かし方を、自分で気づき、書き換えていく方法」です。
- 左:胸が潰れて手を床に無理につけた三角のポーズ
- 右:ブロックやイスを使って快適に胸が開いた三角のポーズ
📝 関連記事:練習の目的のズレを修正したい人へ
▶身体が硬い人のためのヨガ練習法|無理なく変わるためのポーズ設計のコツ
誤解からの再教育──シリーズのはじまり
このnoteは、シリーズ『誤解からの再教育』の“エピソード0”です。
ここから12ヶ月かけて、毎月ひとつずつ、身体の深部にある“ズレ”に光を当てていきます。
年間テーマ一覧(2025年)
6月|場所の誤解
──「そこ」を動かしているつもりになっていないか?
7月|力の誤解
──「力を入れる」と「力が通る」はどう違う?
8月|支えの誤解
──支える=固める、になっていないか?
9月|軸の誤解
──「真っすぐ」が軸だと思っていないか?
10月|呼吸の誤解
──深呼吸=たくさん吸うこと、になっていないか?
11月|柔軟性の誤解
──柔らかい=伸びること、だと思っていないか?
12月|安定の誤解
──止まることが“安定”だと勘違いしていないか?
1〜3月|連動と統合
──バラバラだった感覚を、どうつなぎ直せるか?
再教育のスイッチは、今ここにある
“わかっていたのに、できなかった”──
それは、あなたのせいではありません。
教わってきた前提が、信じてきた動きが、ズレていただけ。
だからこそ、今ここから。
身体にしみついた誤解を、ひとつずつほどいていく旅を、はじめていきましょう。
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📚 誤解からの再教育|シリーズ全体の案内はこちら
▶身体の使い方を、誤解から再教育する。──年間noteシリーズのご案内
📝 今回のnote記事(エピソード0)を読む
▶【エピソード0】“ヨガ=ストレッチ”という誤解 ──身体の前に、頭を整える旅のはじまり
🎥 関連動画:ハムストリングスを伸ばさずに前屈を深める7つのアプローチ
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