ヨガでケガをしない柔軟性の育て方|“伸ばす”だけでは危険な理由と安全に柔らかくなる方法|柔軟性の誤解①

こんな悩みはありませんか?

  • ストレッチをしても、思うように柔らかくならない

  • 前屈をがんばるほど、身体が硬く感じる

  • 「柔らかい=よく伸びる」と信じている

まず伝えたいのは、「柔らかくなりたい」という気持ちはまちがいではないということです。
ただ──その練習の“構造”を誤解している人が多いのです。


誤解と正解

よくある誤解 実際の理解
柔らかい=よく伸びる 柔らかい=伸ばしても戻ってこれる範囲の広さ
たくさん伸ばせば柔らかくなる 伸ばすだけでは壊れる。戻る力を育てる必要がある
力を抜くことが正しい 「支える力」があるからこそ、安心して緩められる

たとえるなら、古いパンツのゴムです。
よく伸びるけれど、もう戻ってきませんよね?
それは柔らかいのではなく、弱い状態です。

本当の柔らかさとは、「伸ばしてもちゃんと戻ってこれる力」のこと。
ヨガでは、その“強さをともなった柔らかさ=しなやかさ”を育てていきます。


伸ばすだけが危険な理由

ストレッチで筋肉を強く引っ張ると、身体は反射的に「危ない」と感じて緊張します。
(これを「伸張反射」といいます。)

強く引っ張るほど、筋肉は“守ろう”として固まる。
そのため、どんなにがんばっても柔らかくならないのです。

一方で、緩めすぎても危険があります。
「伸ばすだけ」が危険な理由は、実は二段階あります。

  1. 緊張したまま伸ばして痛める

  2. 緊張がとれたあと、弱いまま伸ばしつづける

どちらもケガにつながります。
緩めることも大切ですが、それだけでは不十分。
“戻れる強さ”を持っていないと、安心して柔らかくなることはできません。


実践チェックリスト:あなたの柔軟性の質を確認

  • 伸ばしているとき、呼吸が止まらずにできていますか?

  • ポーズを解くとき、崩れることなく「戻る感覚」がありますか?

  • 緩めたあと、支えを感じられていますか?いつでも力を入れられる余裕がありますか?

ひとつでも「いいえ」と思ったら、
“戻る力”を意識した練習に変えていきましょう。


試してみよう:ハムストリングスを“伸ばす”だけでなく“柔らかくする”

① ただ引っ張って伸ばす(通常のストレッチ)

ベルトを使って、足をただ「引っ張って伸ばす」だけの動きです。
このとき、身体は“守ろう”として緊張しています。
無理に伸ばすと、筋肉がかえって固まってしまいます。


② いったんゆるめてから、呼吸とともに伸ばす

30秒ほどキープしながら、股関節まわりの力を抜いて呼吸を深めます。
「ゆるめる→呼吸を通す」で、神経が“安全だ”と感じはじめます。
この段階では、まだ“柔らかくなる準備”です。


③ 足を押し返しつつ、ゆっくり伸ばす

ここからが本番。
足をベルトに「押し返す」ようにしながら、ゆっくり伸ばしていきましょう。

大切なのは、

押し返す力:伸ばす力=1:10~100

けんかにならない程度の軽い力でOK。
“戻る力”の通り道を感じながら動かすことで、筋肉は安心して伸びてくれます。


 結果:

不思議と、前よりも深く、やわらかく曲がれるはずです。
それが“戻る力”が働いた証拠。


よくある失敗例

  • ベルトを強く引っ張りすぎる

  • 息を止めて、我慢のストレッチになっている

  • 緩めることだけを目的にして、力をいれてつながる感覚を忘れている


なぜ「押し返す」と柔らかくなるのか?

足を押し返しながら伸ばすと、筋肉がゆっくりと収縮しながら伸びる「伸張性収縮(エキセントリック収縮)」が起こります。
これにより、神経が「安全に伸ばせる範囲」を再学習します。

また、使うことで周囲の筋肉との連携が起こりやすくなり、
特定の部位だけでなく身体全体で伸ばせるようになるからです。


練習のヒントとなる教え

柔軟性とは、「伸ばしても壊れず、戻ってこれる力」。

違う言い方をすると「自由に動ける範囲の広さ」のこと。

どこまで伸ばせるかよりも、どこまでなら安心して戻ってこられるか、動けるかを意識してみてください。

子どもの頃の一人でのお出かけのように。
「戻ってこられる」という安心があるから、私たちは伸びていけるのです。


Q&A:よくある質問

Q. 力を入れると筋肉が硬くなりませんか?
→ 正しく使えば逆です。力を“通す”ことで支えができ、むしろ安全に緩めます。

Q. どのくらいの強さで押し返せばいい?
→ 「押し返す力を感じる中で、できるだけ弱く」が理想です。


動画で体感する

YouTube:伸ばす“だけ”では危険。ヨガでケガをしない柔らかさの育て方|柔軟性の誤解①

00:00|オープニング
00:06|「柔らかい=よく伸びる」だとダメな理由と必要な考え方
02:01|太もも裏のストレッチを通じて”伸ばすだけではない”を体験しよう
06:20|ポーズも”ただ伸ばしているだけ”じゃない話
08:54|まとめ

 


あなたへの問い

あなたが「柔らかくなりたい」と思うとき、
本当に求めているのは“伸び”ですか?
それとも、“戻れる安心”ですか?


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まとめ

柔軟性とは、伸ばしても壊れず、戻ってこれる力。
だから、やわらかくなりたいなら──
どこまで伸ばせるかよりも、どこまでなら安心して戻ってこられるかを見つめることから始めましょう。

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