前屈が安定しない本当の理由 ── 安定=現状維持ではない|股関節から再教育する身体の使い方【安定の誤解④】

こんな感覚、ありませんか?

  • 前屈が日によって安定しない

  • 昨日はできたのに、今日は崩れる

  • 「安定しよう」とするほど身体が固まる

それは、あなたの身体が弱いからではありません。
「安定の定義」を誤解したまま使っているだけです。


今週の結論【最初に確認】

安定とは、現状を保つことではありません。
変化しても、揺れても、
自分で“戻ってこられる場所”を持っている身体のことです。


よくある誤解と、今日の再定義【保存用】

よくある誤解 今日の再定義
安定=動かないこと 安定=変化に合わせて戻れること
揺れ=失敗 揺れ=洗練への気づき
補助ありでの安定=未熟 補助ありでの安定=安定への入り口
支えさえあれば安心 内側の調整力を高めて支えなしを目指す

※ ここは 実践中に必ず立ち返る場所 です。


「現状維持」は、身体では成立しない

エスカレーターに後ろ向きで乗っていると想像してください。

何もしなければ、
静かに後退していきます。

同じ位置にいるには、
前に歩き続ける必要があります。

身体も同じです。

科学的に見ても

「今の状態」は、
常に変わり続ける前提で成り立っています。

だから安定とは、
止まることではなく
微調整し続けられる能力です。


安定とは「補助が要らなくなる」ことではない

ハトのポーズで
お尻にブランケットを敷く。

これは、とても良い選択です。

大切なのは、
ブランケットを逃げ道にしないこと。

補助の正しい役割

  • 基盤の安定感を“感じさせる”

  • 呼吸の余白を取り戻す

  • 身体全体のつながりを思い出させる

ブランケットがあるからできた感覚を、
なくても再現できるようにする。

これが「戻れる身体」です。


コルセット的な安定と、本当の安定

コルセットは、
外側から身体を固定します。

それは一時的な安心ですが、
内側の調整力を育てるものではありません。

研究でも、
外的サポートが強いと一部筋活動が低下する可能性が示されています
(Ludvig et al., 2019)。

外した瞬間に不安が出るなら、
それはまだ「借り物の安定」。

本当の安定は、
外側がなくても戻ってこられること。


チャレンジは、安定を壊さない

例えば、肘つきプランク。

安定してきたら、
片手・片脚を浮かせてみてください。

  • 骨盤が傾く

  • 脇が抜ける

  • 呼吸が止まる

これは失敗ではありません。

「まだ磨ける場所」が見えただけ。

再び通常のプランクに戻ると、
以前より安定している。

揺らしたからこそ、
芯が洗練されるのです。


安定の本質は「調整し続けられること」

冬は特に、
身体の調子が日替わりです。

だから必要なのは、

  • がんばり続ける安定
    ではなく

  • 揺れても戻れる芯 × 編集できる余白


新・感覚転移ワーク【保存版】

このワークの目的

形が変わっても再現できる安定を育てる。


① ワニのポーズ変形

目的:大腿骨頭を“中心へ戻す”感覚、大腿骨と坐骨の位置関係を把握する感覚をつかむ

  • 仰向けでワニのツイスト

  • 上側の大転子に意識

  • 大腿骨頭を奥へ「吸い込む」

  • 軽く内旋+内転

  • 坐骨の向きの変化を観察

起きる変化

  • お尻が突っ張るのではなく柔らかく伸びる

  • 股関節が迷わなくなる


② ベルトワーク

目的:①でつかんだ関係性をハムストリングへ転移

  • ベルトで脚を持ち上げる

  • 大転子を寄せる

  • 坐骨を落とす

サイン

  • 骨の動きが主役になる

  • 楽に動くため、伸び感はむしろ少なくなる

③ 前屈バリエーション

以下から2〜3種:

  • 片脚前屈

  • シコ前屈

  • 開脚前屈

  • ブロック前後開脚

共通チェック

  • 大腿骨は中心へ戻っているか

  • 坐骨の方向を編集できているか


実践中チェックリスト【必ず確認】

□ 形を深めようとしていない
□ 大腿骨が外へ逃げていない
□ 坐骨の向きが途中で崩れていない
□ 呼吸が浅く止まっていない
□ 「戻れる感覚」が残っている

※ 1つでも×があれば、ワニに戻る。


ワーク後に起きる静かな変化

  • 前屈が「伸ばす」から「整う」へ

  • 股関節の迷いが減る

  • どのポーズでも基本が揺れない


動画で動きを洗練【YouTube動画】

👉YouTube動画|安定とは“現状維持”ではない|前屈から知る本当の安定|安定の誤解④

目次
00:00|オープニング
00:07|「現状維持=安定」ではないことについて
02:04|基本感覚(股関節をはめる感覚・大腿骨と坐骨の位置関係)をつかもう
04:42|基本感覚を応用して開脚や前後開脚もやってみよう
11:16|まとめ


練習のヒントとなる言葉

安定は、止まることじゃない。
変化しても、
静かに戻ってこられること。

戻る場所としての基本を育てることが練習。

基本があれば、型破りもOK。

基本がなければ、ただの形なし。


あなたへの問い

今日、
「安定しよう」として
固めていた場所はどこでしたか?


関連記事(保存マニュアルシリーズ)


まとめ

安定は、
守るものではありません。

育てて、編集し続けるものです。

今日つかんだ
「戻れる場所」を、
あなたの身体の中に
そっと残しておいてください。

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