骨盤が立たないのは“胸”のせい?──腰ではなく胸から動かすと自然に整うヨガの3ステップ

骨盤を立てようとすると腰が反る──その悩み、実は「胸の使い方」に原因があるかもしれません。
本記事では、骨盤を無理なく立てるための“動線づくり”を3つの練習で解説します。
目次
よくある悩み:「骨盤を立てると腰が反ってしまう」
ヨガやストレッチの指導で「骨盤を立てましょう」と言われたとき、
– 腰が反る
– 背中が詰まる
– 息がしづらくなる
そんな経験をしたことはありませんか?
この違和感、実は「骨盤だけを動かそうとしている」ことが原因かもしれません。
本記事では、「胸から骨盤へ動きを伝える」ことで自然に整う感覚と、その練習法を3ステップでご紹介します。
骨盤は「腰だけ」で動かせない──反り腰になる本当の原因
骨盤は、単独で自由に動かせるパーツではありません。
上半身(特に胸椎・肩甲骨)との連動があって初めて自然に整います。
身体は「点」ではなく「線」でつながっているからです。
竹や釣竿のように、長さのある構造物は“上からしなる”ことで下部も動きます。
逆に、部分だけで動かそうとすると、無理がかかって折れやすくなる。
これは、骨盤にも同じことが言えます。
解剖学的にも、骨盤は「大腰筋・腸腰筋・広背筋」など複数の連動筋群に支えられており、孤立して操作することはできません。
骨盤を動かすには胸からの動きが重要
骨盤を「立てよう」とする代わりに、「胸から骨盤へと動きを伝える」と考えてみてください。
この意識ひとつで、
・背中の緊張が抜ける
・呼吸が通る
・骨盤が自然に立ちやすくなる
という変化が起こります。
なぜ「胸」からなのか?
それは、胸を動かすには肩甲骨がゆるんでいる必要があるからです。
胸を動かそうとすることで、自然と「肩甲骨をゆるめる」ことが起こります。そうすることで、背中がつながり、胸の前方への動きが骨盤へ届きます。
実践ワーク①:椅子で「胸から骨盤」
→ 背中の詰まりを解放し、骨盤が“座りやすくなる”感覚をつかむ
- 椅子に深く座る
- まず「腰だけ」で骨盤を立ててみる → 背中が詰まり、反る感覚を確認
- 次に肩甲骨を落とし、胸から前へ動きを送る → 骨盤が自然に立ちやすくなる
※重心は坐骨ではなく、太ももの真ん中あたりに置くと安定しやすい
▶ 実践ワーク①~③の動きはYouTube動画でも実演しています:▶ 再生する
実践ワーク②:伸びたネコのポーズ × 胸と太もも裏
→胸と肩甲骨をゆるめながら、「胸→骨盤」の動線を体感する練習
- 骨盤を前傾させようとすると、詰まって動かない
- 胸を床方向へ「押し出す」意識に変える
- 同時に、太ももの裏で見えない壁を「押す」
この2点を意識すると、詰まり感が減り、骨盤が自然に倒れやすくなります。
実践ワーク③:長座前屈で「骨盤を倒す」感覚をつかむ
→硬い人でも上手に長座前屈できるようになる
長座前屈で骨盤を倒そうとしてうまくいかない時…
以下の手順を試してください:
1,膝を少し曲げて手をおいて、太ももの裏で押す
(※丸めたタオルを入れるのもアリ、重心の位置が掴みやすくなります。)
2,重心を太もも裏に乗せつつ、胸から前へ伸ばしつつお尻を引いて膝を伸ばしてゆく
3,太ももの裏でマットを押しつつ、胸を押し出しつつ長座前屈へ
この「胸からの流れ」が先に通ることで、骨盤が倒れやすくなり、無理なく前屈が深まります。
骨盤を立てるときのよくある失敗とその対処法
Q. 骨盤を立てようとすると腰が反ってしまいます。
→ 腰ではなく、“胸と肩甲骨からつながる感覚”を使って動きを導いてみてください。
Q. 背中が詰まって呼吸が浅くなります。
→ 胸の前側を広げる意識を持つと、呼吸の通り道が開けてきます。
Q. ハムストリングスが突っ張ってしまいます。
→ 別練習でハムストリングスをゆるめてから、また骨盤を動かす練習に戻りましょう。
まとめ:”骨盤を立てる”のではなく、“骨盤が動きやすい条件を整える”
骨盤は単独で操作するものではなく、全体の動きの大きな流れの中の一部です。
ポイントは、
✅ 胸から骨盤への動線を意識すること
✅ 上半身との連動を育てること
✅ 無理に形を作ろうとせず、条件を整えること
「骨盤が立たない」のではなく、「骨盤が立つ条件がまだ整っていない」だけ。
──その視点の転換が、きっと身体の変化を導きます。
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