深呼吸が苦しいのは“吸いすぎ”だから──ヨガで“長く通す呼吸”を身につける方法【呼吸の誤解③】

こんな壁にぶつかっていませんか?

「深呼吸してください」と言われると、胸をふくらませようとして苦しくなる。
たくさん吸おうとすると、肩が上がって首がつらくなる。
呼吸を深めたいのに、かえって息苦しさが増してしまう──そんな経験はありませんか?

誤解 vs 正解

よくある誤解 本来の理解(再教育)
深呼吸=たくさん空気を入れる 深呼吸=通り道を保って“長く”流す
胸を張って大きく吸う 胸を張りすぎず、“のど”を開いて通す
吐く=腹筋で押し出す 吐く=空気を“戻す”流れを見送る
浅い呼吸=悪い 浅さは状態のサイン。気づくことが第一歩

💡 保存ポイント

深呼吸は「がんばってたくさん空気を入れる」ものではなく「なめらかに空気が通る時間を長くする」もの。

力を抜くほど、空気は自然に入ってくる。


実践チェックリスト

・吸うとき、肩が上がっていない

・胸を張りすぎず、のどの奥に空間を感じられる

・吐くとき、腹筋を固めず、でる空気をやわらかく押し続けている

・呼吸が途切れず、なめらかに続いている

・呼吸の途中で力んだとしても「力んでいる」自分に気づいている

💬 このリストをスクショしておくと、練習中にすぐ確認できます。


 ステップ練習|“通す呼吸”を身につける3ステップ

Step 1:姿勢をゆるめる

胸を張るのをやめて、少し背中を丸めます。
肩を落として、力を抜きましょう。
余分な力を抜くことが、呼吸の第一歩です。

左:胸を張ろうとするあまり、力みやすくなるし、あごもあがりがちです。

右:少し丸くなっても大丈夫。まずは楽な状態になりましょう。


Step 2:のどの通りを見つける

鼻先を見るように、あごを軽く落とします。
“のどが開く感覚”がしたら、そこが空気が通り始める角度。
自然に空気が入ってくる──それが、「通す呼吸」です。

左:無理にあごを引いて、むしろのどが閉じて窮屈な状態。

右:目線を鼻に落とし、徐々にあごを落としてのどが開いた場所を見つけた状態。


Step 3:呼吸の流れを見つめる

空気の通り道が見つかれば、吸う息は自然に深まります。

のどから入った空気が、お腹→胸→のどへとたまっていくのを意識しましょう。

吐く時はその逆。お腹 → 胸 → のどへと、空気が自然に戻って空になっていく流れを感じてみましょう。

その時に、無理に押し出そうとするほど、筋肉は緊張し、通り道が閉じてしまいます。

腹筋を固めるのではなく、柔らかく力を入れる感覚。

出ていく空気を、後ろからそっと添えて押す感覚です。

ポーズの時も同じです。

あぐらでの前屈。吐く息に合わせた通り道ができていれば、ポーズは深まります。

左:前に行こうと焦ってあごが上がった状態。呼吸も浅くなるし、身体もつながらない。

右:のどが開いた状態をたもったままのあぐらでの前屈。自然とポーズが深まる。


 よくあるつまずき

  • 胸を張りすぎて、のどが詰まる

  • 「たくさん吸おう」として肩に力が入る

  • 吐くときに腹筋を固めてしまう

  • 浅い呼吸を「悪い」と決めつけてしまう

💬 浅くてもいい。気づいた瞬間から、深さは始まっています。


ワンポイント補足

一秒の間に入る空気の量が少なくても、
十秒なめらかに吸い続けられれば、最終的に入る量の総和は大きくなります。

呼吸のような、誰もが毎日くり返すありふれた動きの中にも──
意識を向ければ確かな違いが生まれます。
その小さな違いの積み重ねこそが、変化を起こす力。

特別な才能や環境がなくても、
いまの自分の呼吸から変化を起こすことができる行い。
それこそがヨガです。


練習のヒントとなるヨガの教え

深呼吸は努力でたどりつくものではなく、「深呼吸という状態」を味わうものです。

吸えなくても、流れが途切れなければ、それで十分。

「ヨガとは心の波を鎮めるものである」

同時に

「心の波が鎮まった時、ヨガという状態が現れる」


Q&A

Q1. 深呼吸しようとすると胸が苦しくなるのは?
A. 胸を張りすぎて、首すじ(胸鎖乳突筋)が力んでいる可能性。
 あごを軽く引くと、鎖骨との協力で通りが戻ります。

Q2. 吐き切れないときはどうすれば?
A. 無理に押し出さず、「流れを助ける」感覚で。
 ケチャップや歯磨き粉などのチューブを奥から優しく押すイメージで十分。

Q3. 練習のタイミングは?
A. 気が向いた時で十分。その代わり、少しずつでも毎日意識することが大切。
 信号待ちや電車の中で練習すると、時間つぶしにもなり一石二鳥です。


動画リンク

🎥 YouTubeで体感する:深呼吸が苦しいあなたへ──あごの角度を変えるだけで呼吸が変わる
👉 https://youtu.be/cx76IByI0-o

🕒 チャプター

00:00|オープニング
00:07|深呼吸の時に誤解しやすいポイントについて
01:35|呼吸が通る角度の見つけ方
【呼吸が通る感覚と効果をあぐらからのシンプルなポーズで実感してみよう】
05:02|あぐらからの前屈
06:31|あぐらからの後屈
07:37|あぐらからの側屈
08:39|あぐらからのツイスト
09:59|まとめ


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あなたへの問い

あなたはいま、息を吸おうと、吐こうとしていませんか?
それよりも──息が入りたくなる、出たくなる“通り道”を探してみてください。


保存のすすめ

このページは、「呼吸が通らない」と感じたときに立ち戻るための再教育マニュアルです。
スクショ保存やブックマークをして、練習の途中で何度でも見返してください。

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