脱力は弱さじゃない──内側の支えで前屈は自然に深まる|柔軟性の誤解➂

【こんな悩みはありませんか?】

・前屈すると痛みがでる

・呼吸が止まる

・力がうまく抜けない

・前屈しようとすると緊張する

これらは あなたが悪いわけではありません。
身体が「守っているだけ」です。

この記事では、
前屈で起きる“固め癖”をほどき、
外側の支え → 内側の支えへ移行する
前屈の再教育ワーク をまとめます。


脱力の【誤解 vs 正解】(スクショ推奨)

よくある誤解 本当のポイント
力を抜くほど柔らかくなる → 緊張して身体はむしろ固まる
柔らかさ=筋肉の問題 → 神経の“安心”が鍵
前屈は深く倒すほどよい → 支えが整う範囲内で行うこと
自力だけで行う必要がある → 最初は外側に頼ってよい。最終的には内側の支えで緩む

外側に“補助輪”をつくって安心を覚え、
その安心を“内側の支え”で再現できたとき、前屈は自然に深まります。


なぜ前屈で力が抜けない?(身体の仕組み)

身体は不安・不安定・痛みを感じると、
共同収縮(co-contraction) という“固める反応”を起こします。

・全身の筋肉を同時に固めて関節を守る

・つる(スパズム)と同じ防御反応

・固める → 不安が増す → さらに固まる

つまり、

力が抜けないのは「弱さ」ではなく、
身体があなたを守ろうとしているサイン。

この状態で強引に脱力しようとすると、
むしろ固まり、ケガのリスクも上がります。

逆に、
支えようとして力を入れすぎると、動けなくなる。

そのあいだにあるのが、
「適度な支えで安心をつくる感覚」 です。


今日のポイント(チェックリスト)

※再練習のための保存用

・足裏の四点を感じられている

・呼吸が止まっていない

・元の体勢に“戻れる余裕”がある

・手や足の押す力が切れていない

・眉間がゆるんでいる

ひとつ欠けると、身体は“守りモード”に戻ります。


【外側の支え → 内側の支えへ】

第2週では外側の支え(ブロック/壁/椅子/手)で
「支えがあれば守らなくていい」という“安心”を練習しました。

第3週では、
その安心を 自分の内側で再現する段階 に進みます。

・足裏の押し返し

・筋肉同士のつながり

・ほんのりした腹圧

これらが揃うと、
固め癖(共同収縮)は自然にほどけていきます。


 【ステップ練習|前屈編】

(実践中に立ち返れる、保存版)


 ▶ ワーク1:落とす前に“支える”

目的:内側の支えをつくり、安心して前屈へ入る準備を整える

  1. 足裏四点(母指球・薬指つけ根・踵内外)で立つ

  2. 足の指を上下し、ふらつかない重心を見つける

  3. その位置で深い呼吸

  4. 呼吸を止めずに前屈へ

変化ポイント:
ワーク前後で前屈の質が変わります。


 ▶ ワーク2:“戻ってくる力”をつくる

目的:前屈中でも崩れない“内側の支え”を育てる

  1. 足裏で地面を押す

  2. 太もも裏で“後ろの壁”を軽く押すイメージ

  3. 手を腰に添えて、45°前傾

  4. 坐骨を軽く引き込むように起き上がる

  5. そのまま“戻れる位置”を保ちながら前屈へ

→ 戻れる力があると、背中は勝手にゆるみます。


▶ ワーク3:押す → 緩む の往復で力の流れをつかむ

目的:全身の調和と“内側に寄りかかれる感覚”を養う

  1. 手を床(or ブロック)につく

  2. やや手側へ重心を移し、床を押して坐骨を持ち上げる

  3. 重心を足へ戻す

  4. 2〜3を数回繰り返す

  5. 手足を均等に押しながら頭をゆっくり落とす

→ 全身の支え → 全身のゆるみ という循環が生まれます。


【よくある失敗例】(保存用)

・呼吸を止めてしまう

・深く倒そうとして急ぎすぎる

・足裏・手のひら「だけ」を押してしまってつながりがない

・眉間にしわが寄っている

どれも “身体が守っている” 合図です。


Q&A|よくある質問

Q. 力を抜く感覚が分かりません。

A.脱力は「抜く」のではなく「支える力の微調整」です。

まず“力を入れる”が先です。力が入るようになれば、加減を調整しやすくなります。

Q. 硬い身体でもできますか?

A. 大丈夫です。もし力みがうまく取れない場合は、第2週の復習をしてみてください。外側の支えを使ってよいので、まずは感覚をつかんでしまいましょう。

Q. 内側の支えができたサインは?

A. 体勢をキープするのに緊張しなくなるので、眉間がゆるんだままポーズがとれます。


🎥 YouTubeで一緒に練習

👉

【YouTube】【脱力ヨガ】前屈で力が抜けない本当の理由|弱さでも固めでもない。“内側の支え”で自然に深まる|柔軟性の誤解③

00:00|オープニング
00:09|脱力の誤解について
【支えのある前屈をするための3つのワーク】
02:24|ワーク1:落とす前に支える
03:48|ワーク2:戻ってくる力を強化する
05:45|ワーク3:力の流れをつかむ
07:45|まとめ


練習に役立つ教え

ポーズは安定と安心の下で行われるものである。


あなたへの問い

前屈に入る前、
今日のあなたの 「寄りかかれる内側の支え」 はどこにありますか?


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・📗 note版|脱力は弱さじゃない。──内側に支えがあるとき、身体は自然に緩む。

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まとめ

・脱力=弱さではない

・脱力=内側に支えをつくる技術

・外側→内側の支えへ移行すると前屈が自然に深まる

・戻れる力・押す力・観察の余裕が鍵

・眉間がゆるむと“守り”が静かにほどけていく

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