年齢は「育つもの」──Grow-Agingという考え方と身体の可能性

「年齢って、育っていけるものなんだ」
そう思えたとき、身体も心も、少しだけ自由になった気がしたんです。
目次
アンチエイジングは、もう苦しい
「アンチエイジング」という言葉を耳にするたび、僕は少しだけ胸がざわつきます。
老いることに“抗う”。時間に“逆らう”。
その発想自体が、どこかで自分の変化や今の姿を否定しているように感じて、どうにも馴染めなかったんです。
スマートエイジングは「答え」なのか?
「スマートエイジング」という言葉は、より前向きな選択肢として広まりつつあります。
“年齢に逆らわず、変化にうまく対処する”という発想にはうなずける部分もある。
でも、「賢く老いる」ことが唯一の正解だとしたら、
“ちょっと不器用な自分”は、そこで置いていかれてしまう。
また、身を任せ過ぎるのもちょっとつまらない。
育つという実感──現場で見た成長のかたち
呼吸と身体の変化に向き合う日々の中で、僕はある日ふと気づいたんです。
「年齢を重ねるって、“育っていく”ことなんじゃないか?」
これは単なる精神論じゃありません。
・呼吸が深くなった
・立ち姿に芯が通った
・痛みに過敏だった人が「大丈夫です」と言えるようになった
自分が知らなかった感覚を新たに得る。以前できなかったことができる。
そんな変化を、何人もの生徒さんから見せてもらいました。
僕のスタジオに12年以上通ってくださっている80歳の生徒さんがいます。ある日、「今日はすごくいい動きでしたね」と伝えると、彼は笑ってこう言いました。
「これで、まだまだ上を目指せますね」
その背中は“衰え”ではなく、“伸びていく姿”そのものでした。
Grow-Aging──僕が選んだ名前
この実感に、僕は名前をつけました。
Grow-Aging(グロウエイジング)
抗わず、誤魔化さず、それでも育ちつづけるという選択。
年齢を「終わり」でも「完成」でもなく、“育ちの途中”として捉える。
見た目の若さではなく、“育ち”の手ざわりを
Grow-Agingは、見た目を若く保つための技術じゃありません。年齢をごまかす工夫でもありません。
むしろ、「いまだからこそ育てられる感覚や筋肉や気づきがある」ということに、もっと光を当てたいんです。
【エビデンス】高齢でも筋肉は育つ
これは科学的にも証明されています。
・厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』では、
「筋肉は年齢に関係なく鍛えることができる」と明記されています。
・新潟医療福祉大学の研究でも、
高齢者でもストレッチを継続すれば筋肉は柔らかくなることが報告されています。
つまり、“老い”は「衰える一方」ではない。筋肉も感覚も、育っていけるんです。
Glowではなく、Growを選ぶ理由
「Glow-Aging(グローエイジング)」という言葉もあります。“輝き”を保つという考え方ですね。
でも、僕が使いたいのは「Grow(育つ)」の方です。
見た目が光るのではなく、根を張って、自分の深さを伸ばしていくような老い方。
その方が、僕の身体観にしっくりきたんです。
一生成長期という選択
Grow-Agingとは、「一生成長期を選ぶ」ということ。
今の身体を大切にしながら、まだ知らない自分の力に出会っていく。
柔らかさの中に芯があって
安らぎの中に方向性があって
笑いながら挑戦している人が、一番かっこいい。
あなたにとってのGrow-Agingは?
「年齢って、育っていけるものなんだ」
そう思えたとき、身体も心も、少しだけ自由になります。
焦らず、誤魔化さず、それでも前を向ける。
Grow-Aging──この言葉が、誰かの歩みにそっと寄り添えたら嬉しいです。